菅井八段と振り飛車について
1月7日から将棋の王将戦7番勝負が始まります。
挑戦者は菅井竜也八段。
菅井竜也|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)
振り飛車の使い手といえば、かつては藤井猛九段、久保利明九段、鈴木大介九段の3人が代表格で、振り飛車御三家とか言われていた時代もありました。
ただ、現在の振り飛車党の第一人者といえば菅井さん一択です。
実際、現在はAIが振り飛車を評価しないこともあり、振り飛車を主戦場として、事実上第一線(※)で戦える棋士は菅井さんだけになっています。
※2024年1月現在、B1クラス以上に在籍する振り飛車党は菅井さんのみ
個人的には、良い挑戦者が出てきてくれたと思っています。楽しみなシリーズです。
何といっても、居飛車対振り飛車という対抗形はやっぱり「わかりやすい」。
現在トップ棋士で研究が進んでいる角換わりや、相がかりなどを中心とした居飛車の戦法は、アマチュア初段クラスの私のような凡人にとっては、正直、難しくてよくわかりません
指し手の意図が分かりすい、見慣れた局面になるという意味でも、安心?してみていられるというのも大きいですよね。
(将棋を覚えたとき、振り飛車から始めた方は多いのではないでしょうか。もちろん私もその一人)
闘志が感じられる棋士
菅井八段には人それぞれ色々なイメージを持っておられると思いますが、私にとっての菅井八段は
「闘志の人」
NHK杯などで対局姿を見ることもありますが、いつも眉間に皺を寄せて物憂げな表情。
そして、ノーネクタイのワイシャツ姿(棋士の中では珍しい)。
勝負どころに差し掛かると、時折ビシッと気合の入った駒音を立てるときもあります。
今のトップ棋士たちの対局姿は総じておとなしめ。そんな中にあって、菅井さんの対局姿からは
勝負師としての闘志が感じられて、とても好きです。
↓画像はイメージです
菅井さんから「藤井聡太さんを尊敬している」というコメントはありません。棋士の中には「藤井聡太さんはこんなにすごいんだよ」とコメントされている方も少なくありません。
でも、菅井さんは確実に藤井さんをライバル視し、「倒しにきている」のだと感じます。
気持ちで負けていない。その意気や良し!というところです。
この王将戦は今後の振り飛車を変えていくかもしれない
とはいえ、藤井八冠の防衛確率はかなり高いと思っています。
4勝2敗で藤井防衛とみます。やはり中終盤の読みの速さと正確さが常人離れしているので。
とはいえ、勝敗に関わらず、ここで菅井八段が良い戦いを見せてくれたら、今後の戦法としての振り飛車の未来は今より明るくなると思います。
最近では居飛車党の豊島九段、佐藤天彦九段も、飛車を振る時があります。
上記のお二人が振り飛車を採用している背景には、研究合戦の相居飛車に閉塞感を感じている、他の棋士と差をつけにくいということなどがあるのだと思います。
ただ、それだけではない気もします。
それなりに深い考えがあって振り飛車を採用していると考えられます。
つまり、AIによって現在否定されている振り飛車にも、まだ鉱脈が眠っている可能性が高いと考えているのだと思います。
そう思うと、この王将戦七番勝負は振り飛車戦法の未来を占うものになるかもしれない。
いや、むしろそういうシリーズであってほしいと願っています。
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