屈指の好カード
NHK杯戦もいよいよベスト8が出揃いました。ここから先は好取組のオンパレード。
↓NHK杯戦の公式サイトです
そして、今日はいきなり藤井NHK杯vs伊藤七段。決勝戦でもおかしくない屈指の好カード。
対局前のインタビューでは伊藤七段は、
「昨年のNHK杯の雪辱を果たしたい」とのコメントも聞かれました。その意気や良し!です。
伊藤七段の事前の予想通り、戦型は藤井NHK杯の先手角換わり。
変化によっては終盤まで定跡が整備されている戦型でもあり、中盤まではお互いノータイムでの進行。
指し手がどんどん進むので、解説の佐々木八段も鈴木環奈さんも、思わず苦笑い( ´艸`)の展開。
(以下、ネタバレを含みます。ご了承ください)
二人だけの会話
ちなみに、今日リアルタイムで行われている棋王戦第1局も先手藤井棋王で角換わり。
棋王戦のほうも序盤は猛スピードで進んでいきましたが、こちらは早指し棋戦なのでさらにすごい。
解説の佐々木八段も、
「この二人は研究がすごい。角換わりになったら、解説者がおいて行かれるのは予想していた」
と言われていましたが、まさにそんな展開に。
えーっと、佐々木八段もバリバリのA級棋士なんですが。
その佐々木八段をもってして「置いて行かれる」発言。一体どれだけハイレベルなんでしょうか?
角換わりは定跡が膨大で、自分の中で整理するのが大変だ、とのコメントもありました。
そうこうする間に指し手はどんどん進み、局面は中盤戦へ。
お互い、盤を挟んで無言のまま、2人だけしか理解できない会話が濃密に交わされているという印象。
きっと、2人にしか分からない世界、変化、景色が見えていたんでしょう。
そして、ここまでは「伊藤ペースか?(by佐々木八段)」とのことだったのですが・・・
最善手しか指さない
中盤過ぎ、藤井さんが飛車を活用したあたりから、徐々に評価値が藤井良しに傾いていきました。
文字通りの藤井曲線。差がついてからは、もはや伊藤七段に粘る余地は残されていませんでした。
93手で藤井NHK杯の勝ち。
一体、どこで差がついたのか?それがわからないままの圧勝。見ていて呆気にとられました。
対局者の伊藤七段も、直後のインタビューでは敗因がわからない旨のコメント。
負けた上に敗因がわからない。伊藤さんにはきつい負け方だったと思います。
中盤以降、差が付き始めたあたりで、佐々木八段から
「藤井NHK杯は、中終盤では最善手しか指さない」との発言がありました。
ドラマやゲームの主人公じゃあるまいし、と笑いましたが、これが現実なんですよね。
そう言われてみて、あらためてAI候補手とくらべて見ていましたが、藤井NHK杯の指しては、AI候補手の1-2番手の手とほとんど一致。
おそろしやー
連覇を止められる棋士はいるのか?
伊藤七段も開始前のインタビューで警戒していました。
「中盤で差を付けられるので、気を付けたい」と。
それなのに、結果はその中盤で差を付けられての敗戦。
この現状を前にして、果たして対策はあるのか?連覇を止められる棋士はいるのでしょうか?
ただ、止めるとすれば、名誉NHK杯の羽生九段、と予想しておきます。
ともあれ、藤井さんはNHK杯2連覇まで、残り2勝まで迫りました。
次回は羽生九段vs中村太八段の勝者と対戦します。
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